教員と学生の距離が近い

入学して1年目は、なかなか「ナカジー」とは呼べないが、2年、3年と進級するにつれ、「ナカジー」と呼ぶ学生は増えていく。


もちろん、ほかの教員とも距離は近付いていくのだが、中嶋だけは「ナカジー」へ進化する。


「学習しない」、「やる気がない」、「自分で考えない」など、自発的に動かない学生には、面談や指導はもちろん行っていくが、学力の有無に関わらず、「勉強に対して自発的に頑張る」、「柔道整復のことを学びたい」など、学びに対して意欲のある学生にはトコトン勉強に付き合う。これは、学科長の中嶋をはじめとする教員は皆同じです。


だが、「先生にお願いする」ことに、壁を感じて、先生と距離を置いてしまい、声を掛けきれない学生がいる。柔道整復師学科では「もったいない」ことだ。

教員と学生の立場はもちろんあるが、学生たちとの壁や距離を少しでも無くし、 学びやすい環境を学生に与えること。そのために、中嶋をはじめとする教員たちは、授業時間だけでなく、休み時間なども声を掛け、勉強で行き詰まった学生たちに解説やアドバイスを行います。


これによって、少しずつ距離が近付いていくのです。


大学、短期大学、専門学校。上級学校と呼ばれる学校の教育では、わからないことがわからないまま、勉強についていけない学生は、学校を離れていく現実があります。

「わからないなら、教える」

 

教育にとって、当たり前のことをやろう。

「手がかかる」のではなく、「手をかける」

この考えや取り組みの顕著なあらわれが「ナカジー」なのです。

国家資格合格に向けた取り組み

例年、この学校のパンフレットでは過去3年間の国家試験合格率を記載している。

年度毎の難易度の波もあり、9割を超えるときもあれば、そうでない年もある。

平成27年度の合格実績

今年は、学生たちの頑張りもあり、
総数で全国15位、九州では4位となった。

学生の利益(=国家試験合格)のため、中嶋が柔道整復師学科の中で取り入れたことがいくつかあるので、ここでご紹介しましょう。

寺子屋授業
寺子屋授業

これは、第1期生の頃に遡るが、
当時、初めての国家試験受験に向けて、学生も教員も勉強に意気込んでいました。


そんな中、学生たちから
「解剖学や生理学の基礎を復習したい」という声が挙がり、
その声に教員が応える形で始まった補習授業が、現在の「テラコヤ授業」の始まりです。

「テラコヤ授業」の由来は、学びたい学生たちが集まり、教員たちがボランティアで授業を行っていたため、学生たちが、江戸時代の学び舎「寺子屋」から取って、「テラコヤ」と呼んだのが、その由来です。


現在は、解剖学、生理学、運動学などの復習と国家試験向けの対策授業を授業時間外に行っています。学生の参加は自由参加にしており、あくまでも「学びたい!」と学びを求めている学生のために行っている。

解剖見学実習
解剖見学実習

もう今年で4年目となるが、毎年、中嶋が解剖セミナーでお世話になっている名古屋大学 医学部のご協力の下、
柔道整復師学科の学生たちは、2年次に解剖見学実習を受けている。


これは、事前に学生たちが個人・グループで解剖学についての課題を決め、教科書ではなく、
実際の人体(御献体)で、その課題を学ぶ実習です。


人体(御献体)に触れ、学生たちに、よりリアルなイメージを持たせ、解剖学の理解を深めさせる。
これによって、国家試験への学習や、卒業後の臨床治療に役立てさせたい。


そんな教員たちの思いがこの実習にはありますが、実はもうひとつこの実習には目的があります。


実習後、学生たちは御献体とそのご遺族への謝辞を書きます。


謝辞とは、感謝やお詫びの言葉を指しますが、ここでは、医療人を目指す学生たちに解剖見学実習という形で
身体をご提供いただいた御献体とその同意を頂いたご遺族への感謝とお礼の言葉です。


命の尊さと医療に携わる「医療人」になるための心構え。
これを学ばせています。


この実習を通して、解剖学の理解を深める学生、これまでの漠然とした考えに変化が起こり、顔つきが変わる学生もいます。私は、毎年この実習を終えて帰ってくる学生たちのその変化が楽しみでしかたがない。

興味や自信を持たせるための工夫

実は、ここ数年我々が苦労している点があります。
若い世代の学生たちに、医療に対する興味や意識を、どう持たせるのか。
また、どう維持させるのかということです。


厚生労働省の認可の下、我々は柔道整復師の養成校として柔道整復の教育を行っています。


国が定めたカリキュラムに沿った授業を行い、既定の内容を学生に教えればいいのだが、
中嶋は、貪欲に授業の効率や学生の理解を深めるものを求めている。

以前、卒業生がこんなことを漏らしたことがあります。
「俺、中嶋先生を尊敬するし、めっちゃ好きです!」


もちろん、ここでいう「好き」は「LIKE」のほうだが、私は思わず、その理由を彼に聞いた。


彼が1年生の時、初めて中嶋の授業を受けた時のこと。彼は、授業の後に中嶋に対して、
授業が「わかりにくい」「(投影資料が)見にくい」などクレームをつけた。


その翌週の中嶋の授業。

なんと投影資料からテキストまで自分が要望した点をさらに作り込んで授業に臨んでくれたのだ。


この時、彼の中で「中嶋=すげぇ、先生」の衝撃が走ったのだとか。

もちろん、学生全員、全ての要望に応えるなんてことは到底難しいことです。だが、
学ぶために必要だと感じたら、即座に動く。
中嶋ならやりかねないなと、私も納得したエピソードだった。

そんなエピソードから数年。
冒頭に述べた現在の学生たちの課題に中嶋は今取り組んでいます。

1年生の1セメ(高校でいう1学期)の授業が終わる7月。
この時期は、テスト!テスト!テスト!
学生たちは心身ともに勉強に追われる毎日です。
テストが終われば、楽にはなるのだが、
ここで自信を無くす学生も少なくない。

「全然わからん、私、柔道整復師に向いてないのかな」

「赤点3個も取ってしまった、諦めようかな」


そんな声がちらほらと聞こえてくる。

昨年からテストが終わった後、

総合演習として行う授業の中にこんな授業があります。


投影資料を使ったクイズ形式の解剖学復習授業


これにはルールがあり、3問正解したらクリア。これで授業になるのかと私は疑問に思ったが、見学してみると、学生たちが活き活きしている。


いつもは小難しそうに考え込んで授業を受けている学生も、この授業ばかりは、「ハイ!ハイハイ!」と声と手を挙げる。

廊下を通った2年生たちからは

「あ、今年もやってるんだぁ」「これ、やばい(面白い)よね♪」

そんな声が聞こえてきた。


1セメのテストに向けた勉強をやった学生の中にあるその知識をクイズ形式で面白く復習をさせることで
答えられる楽しさ=答えられる自信に繋げ、折れそうになった学生たちの気持ちを戻していくのだ。

そんな授業を終え、次の2セメに入ってすぐ次に待っているのは、この授業。

通称「柔整かるた」です。

「柔整」とは、「柔道整復」の略。

「かるた」は、皆さんもご存じのあの「かるた」のことです。

まず、授業の中で学生たちには、さまざまな骨が描かれたプリントが配布されます。学生たちは、この骨の絵に色鉛筆で筋肉や神経など描いていきます。そして、その描いた筋肉の起始・停止、作用などを覚えます。

起始、停止とは、骨と筋肉との接点(繋がる部分)を指し、作用とは、その筋肉の動きによって起こる動作のことを表します。

柔整かるたでは、この起始・停止、作用、神経を教員が読み上げ、学生たちは、この情報からどの筋肉を示すのかを考え筋肉が描かれた絵札を取り合うのです。


ここでも、さきほど紹介した授業と同じ効果があらわれます。


中身としては、決して簡単な内容ではないのですが、学生たちも「難しい」と思っていたものがかるたになると答えられる。

かるたの楽しさを通じて、答えられる自信がつく。

一見して、遊びでやっていると思われる方法でも学生たちの学力向上に繋がり、医療や学業に対する興味や関心を高められるのなら、これも1つの方法だと思う。重要なのは、学生にいかに理解させるか、どう興味を持たせるかなのだから。

語り手
(募集・広報課 本田)